ある派遣現場でのお話。
ほんの4人ぐらいでチームを組んで掃除をするのですが、そのうちの男性の一人がどうも人間関係がとっても苦手なようでして・・
人と話す時、とっても言葉を選ぶので回りの人達がちょっと違和感があるみたいな。
私にすると本人の個性なんですけれど、話したいスピードで話してくれたらそれでいいのですが、どうも世の中は標準とか基準があるので、変わっている人が生活するには不自由な世の中。
私がちょっと仕事にこなれてきて、そしてやっと彼と二人きりになったので、最初は和気藹々と話しをしていました。
それから慣れてきたのか、自分の人生のお話をしてくれました。
ずっと高収入で働いて居たこと。
それがコロナの時代に入り、会社が縮小になり、あえなく首を切られ・・
そして同じ業種とはいえ他の会社に新しく入って、この低収入。
慣れない現場になったのもあるけれど、現場の怖いおばさんたちに心が折れ、疲れ果てている話をしてくれました。
そして最後には
「コロナは僕の仕事と人生を奪いました」と言われました。
だいぶ簡単に書いていますが、彼の悲しく、辛く重い人生のお話です。
ようやっと自分の仕事のことを静かに話してくれました。
その風景を離れていたところから見ていた先輩が
「よく話ができたね、あの人あんまり話さない人だから」と言われたので
「彼の空気のままで話してもらえば普通に話してくれますよ」と説明しました。
そしてそれからまもなく、突然私の前にまっすぐ来て、瞬きもせずに、
「(あと3日後の)○日ですが、僕、辞めると思うので仕事をお願いします」と言いまして、
「え?辞める?」と聞き返すと
「誰にも言っていませんので」と言ってすぐ帰って行きました。
え?
え?
上司にも????
私がきょとんとしていると先輩がやってきて
「どうしたの?今の?」と聞かれ
「あの・・なんかあったみたいですね」と簡単に言うと
「耐えに耐えてきているからね。それとあなたに話を聞いてもらって決断できたのかも」と言いました。
あら。
話を私にしている間に、彼、決断したのかしら?
コロナウイルスが出始めたときにとっても偉い人達が早く手を打っていたら・・こんな辛い思いをしないで済んだ人が沢山いるのに。
目先の利益優先にして安易な答えだけ出しているからこんなことになるのに・・
時間は戻せないから仕方ないけれど、少しでも彼自身が良い方へ行き、良い場所への転職をされることを心から祈ったのでした。