一つ病気になると気が痩せる。
まして年齢を重ねてからは
「私、大丈夫かしら?」と不安までくっついて来る。
若い時はそのようなことは何も考えなかったのに。
体に来ると、心にも直撃すると実感する
大人としては対面上、普通にはしていたけれど、女の子として、前髪が薄い…にはさすがに凹んだ。
鏡を見るたびに生えなかったらどうしょうかと。
でも、同じ症状の人が
「生えましたよ」と言われると、私、大丈夫かも、とちょこっと顔をあげられる。
食べられるご飯の量が増えると、
ほら、元気になってるじゃない、と自分に言える。
お買い物に行くために歩いていると、
マンションのエントランスの前に自転車を止めているウーバーイーツの30代後半ぐらいのお兄さんがいた。
暑いのにご苦労様、と心でねぎらっていると、どうも荷物の移動が普通の人と違って慎重になっている。
…雑な人も多くて、料理が荷崩れしている、って聞いた投稿もあるから、慎重なのね、と思って見ていると、
片腕に荷物を引っ掛けていた。
あれ?
片腕の・・先が…無い。
生まれつきなのか、
事故なのか、
黒いカバーで覆われているその部分は先端が丸くなっている。
ああ…
ご不自由なのに、
こんな強烈な暑さの中で
バランスを取りながら自転車を漕いで、
配達して、
お金を作っているのね、と思うと
胸が痛く、熱くなってきた。
痛かっただろうに…
心も体も。
物が普通に持てない不自由さは怪我をした時に身に染みる。
指先のたった一つのササクレでさえ、痛くて生活や仕事の気持ちをそがれるのに。
品物を、手が無い方にぶら下げて、
バランスをみながらエントランスへ入っていく姿を見て、
私、何を凹んでいたのかしら、と思いました。
だって…薄くなった前髪は生えてくるのだから。
それに気づかれないようにカバーできてるし。
世の中に頑張っている人がいる。
それを忘れちゃだめよ、ワタシ。
一番大切なことをわすれちゃってどうするのよ、と思いました。
体を休めることに集中し、
頑張ることを休んでいたので、
心さえもすっかり動かない自分のままでした。
これからは少しずつ動いて、
「自分らしい生き方をしているおばあちゃん」に戻していかなきゃと思います。