老後サバイブ〜お迎えが来るまで

シンプルな生き方でコロッとあの世へ逝くのが目標

ドア一枚の心使い。

フロアーの掃除を終え、他の階へ移動するために掃除機と清掃道具を両手に持ってエレベーターへ。

先に乗り込んだ男性のお客様がドアを開いたままにしてくださったので

「ありがとうございます」と言うと、

「お疲れ様です。実は僕、学生の時に清掃のアルバイトをして学費の足しにしていたのです」と言われました。

あら・・苦学生だったのね。

「清掃ならできるかな、と思ってやってみたものの、体が大変でした。重労働だと知りました」と言われました。

ストックホルム中央駅のエレベーターだそうです。おしゃれですね)

 

40代後半ぐらいかしら?

このフロアーの会社は確か・・公的な機関のところで高学歴の・・ですから、

大学を頑張って卒業して今のお仕事になったのね、と勝手に想像しながら

「それは、お勉強をしながらのこのお仕事でしたら大変でしたね」と言うと、

「はい、とても大変でした。でも希望のところに就職できたので良かったと思います。アルバイト当時の清掃のみなさんに親切にしてもらったのが良い思い出です」と言われました。

 

ああ・・ジ~ンと来るわ・・・

そうよ、そうなのよ。

学生さんとか大変な人にはおばちゃん達は特に親切にするのよ。

みんな自分の息子や娘とシンクロするのよ。

 

エレベーターから降りる時も

「お先にどうぞ」と言われ、

「ありがとうございます」とお礼を述べると

「体に気を付けてくださいね」と言われ、またジ~~ン・・・

 

ああ・・この年齢にはその一言で心に沁みていく。

玄関に向かっていく男性の背中を見ながら

いろんなものを背負って今を生きているのよね、とまたジ~ンとしながらお掃除を始めました。

スカイツリーのエレベーターの中です。切子細工です。一度だけ乗ったことがあります)

 

とある通路を歩いていると、

外国人の家族連れの方が私の後ろに歩いてきていました。

そして小学生の低学年ぐらいの男の子が後ろから走ってきて私を追い抜いて行ったので、子供って元気でいいわね、と思っていると、

通路の向こう側にあるドアを開いて手を扉の向こう側に指し示し、ニコニコしながら待っているのです。

え?

私のためにドアを開いてくれたの?と思うと

さすがレディファーストの国の子供さんね、と感動しました。

「サンキュウ」と言うと、とてもニコニコしていて、

後ろから来たご両親に背中を撫でられて褒められているようでした。

 

(見習って欲しいわ、日本人のみなさんも。自分だけ通ってそのまんま通り過ぎる人のなんと多いことか。

お年寄りがドア一枚開けるのにどれだけ体力とバランス感覚を要求されるかわかりますか?)

 

この少年のお蔭でとても気持ちの良いお買い物ができました。

 

 

たまに駅のエレベーターに乗り、

降りる時に、

「レディファーストですから」と言われるとちょっと嬉しくなります。

ほとんどは昭和の高齢の男性ですが、

おばさんとしては女性として扱ってもらったこの数秒で嬉しくなります。

 

そして今働いているビルのテナントさんの男性、ほとんどは私たち清掃員を先に下ろして下さいます。

 

良い会社に勤めて良かったと心から思っています。