老後サバイブ〜お迎えが来るまで

シンプルな生き方でコロッとあの世へ逝くのが目標

お話聞き屋さん~70歳からどう生きる?

70歳、清掃員の女性からのお話です。

 

12年、同じ清掃現場で働いている方で、ほんの少しの年金だけもらっている。

そのため独身の長男と暮らしている。

他府県にいる長女から

「そろそろ私の家族と同居しない?年齢的に病気や介護になるので私が面倒を見る方がいいと思うし」と言われている。

来年の春、契約で半年に一回、仕事を更新するかしないか会社から聞かれる時期になるのだけれど、更新しないで、子供のところへ行くか、

それとも今のまま長男と一緒にいるか迷っている、というお話でした。

 

そうでしょうね・・

今のままの方が友達もいるし、当然慣れていますしね。

 

新しい土地に行く不安や同居のことを考えると不安になる。

「でもね、やっぱり年だし」と。

 

30代で離婚をして、子供2人を一人で育てる。

その苦労をしている背中を見ている子供さんたちの言葉には私が聞いていて母親に対して深い愛があることがにじみ出ていることを感じます。

「ものすごく頑張ったのですね」と言うと、

「子供を食べさせるため、守るために必死で働きましたよ」と深く重い思い出を含みながら笑顔でした。

 

今のところ体調には問題がない。

だからこそ来年の春には長女のところへ、とはわかっているものの、踏み切れない。

 

「とっても迷うところですよね。私でも迷いますもの」と話すと

「私のわがままなのですが、やっぱり今のところに居たいと思うのが本音ですね」と。

 

聞いていると、長男との相性が良いらしい。

それと娘さんのお婿さんとは何の問題もないけれど、やっぱり遠慮が出てくるのはわかっている。

「気遣いで疲れるかも」と言われる気持ちも大いにわかる。

 

 

私に意見を求めてこられたので、

「今までの私の経験やご相談の方たちのお話ですが」と前置きをして、

 

①みんなたくさん迷います。

②ただ、病気や介護になって寝込んだ時に男性ではどうにもならないのが現実です。やはり女性の気遣いや行動力は男性とはまったく違うので。

③もしあなたが倒れた場合、長男さんは仕事を休むか辞めなければなりません。

④長男さんに負担をかけないように、長女さんが来られると思いますが、そうなると長女さんに体力とお金、もちろん時間という貴重なものの負担がかかります。

⑤病気、怪我の場合は先々のことが先生とのお話でわかりますが、痴呆になった場合は先が見えません。

ですから痴呆になった場合、どちらに住んでいる方が自分と家族の負担が少ないかということと、痴呆を遅らせるならとっちの生活が良いかを考えられる方が答えが出やすいかと思います。

 

・・等、経験上のお話をさせて頂きました。

 

彼女は

「友達や一歳上の清掃の人がボケていくのを見て、いつ自分の順番が回ってくるのかと思うと、常に刺激を自分に与えて行かなければならないわ、と思っていました。

今の生活は自宅と職場と、あとは買い物。

たまに友人とお茶ぐらいです。

 

そう思うと、長女のところへ行き、

畑をしたり、

孫と遊んだり、

新しい友達を作ったり、

趣味の編み物をしたり・・

そうですね、田舎へ行くとしなければならないことがたくさん増えますね」と話されるので

 

「そうですね、田舎暮らしはのんびり、とみなさん言われますが、いえいえとんでもないですよね。都会は都会で生活に追われますが、田舎は時間の流れが変わりますが、それなりに違う内容で毎日、今日はこれ、明日はこれ、の生活ですものね」と言いました。

 

 

あるお客様のお話ですが、

「うちの田舎の80歳おばあちゃん、食べる分だけの畑を作っているのですが、そのためか全くぼけていないのです。そして疲れると畑の木陰で昼寝をしているのです。

近所の人もその姿を見てはお菓子を渡したり、通り過ぎていたそうです。

ある日、また昼寝をしていたので見ると、亡くなっていました。

とっても気持ちよさそうな顔をしていたそうです。

私もそういう風にこの世を去りたいと思って田舎に戻ろうかと思います」というお話がありました。

 

人生を考える時、

迷って当然です。

たくさん考えて当然です。

 

何かに折り合いをつけて決定しなければならないことがあります。

「自分の死に方がわかればいいのに」と言われる方もおられます。

 

わかりますよ、その気持ち。

一つでもわかることがあれば安心できると思いたくもなりますし。

 

最近一つわかったことが、

「わからないことをわかろうとして考えている自分がいる」。

 

それを辞めなきゃね、と思いました。

 

どこで、お迎えが来るかを決められるうちに、自分がしっかりしているうちに、不安や緊張は“しかたないわ~”ぐらいにとどめ老い先のことを決めておくこと。

 

先日、一緒に働いている70歳の男性の方から

「自分は3年前に膀胱がんで今は定期的に受診中」というお話を聞いて、

命のことをまた考え、整理できるものはしておかないと、とまたスイッチがはいった自分でした。