冬が過ぎ…
春が来て…
野の花や桜が咲き、美しい春…
満開の桜の下からはたくさんの笑顔と笑い声が聴こえ…
日本っていいわ〜としみじみする…
………というのは花見客の立場になった時“だけ”…
私が派遣されている現場のそばには桜の木がたくさんある。
美しいですよ、
本当に美しいですよ…
でもね…
満開までならまだしも、
散り始めると通行人さん達はその美しさに
「わぁ〜〜〜!」と歓声があがるのですが、
私達清掃員は
「ああ…」と落胆の声になる。
花びらはホウキをすり抜け、飛び散る。
薄い、軽い…
最悪は雨の日には道路にピッタリくっつく。
そして次の日には茶色と化す…
美しくない…
清掃していても楽しくない…
この建物のそばの桜だけではない。
ご近所からのも集まってくる。
ちなみに隣の清掃員さんはあまり外周の掃除をしない…
その証拠に
先日隣の建物のそばに清掃の人らしき人を見たときに、先輩に
「あの人、お隣さんの掃除の人ですよね?」と聞くと、
「初めてみたわ」と答えた。
ちなみに…先輩は10年間ここで働いている。
桜の花びらは風に任せてあちこちを巡回している…
ご近所さんが何もしなければ、こちらで大量に集める日々が続く…
桜は散った…
やっと全て散った…
「先輩!やっと散り終えましたね」と話すと…
「今度は…桜の軸よ」
ああ…軸。
すなわち、さくらんぼのあの軸。
先輩に
「鳩はこの桜の軸についた種、食べてくれないのでしょうか?」と聞くと、
「今まで見たことないから…諦めて」
空が見やすくなった木々の間から天を見上げると、
夏空に変わったような青い色。
春の余韻もほとんどなく、
早々に夏突入かな?と思いながら腰を伸ばしている先輩、後輩の清掃おばちゃんでした。