老後サバイブ〜お迎えが来るまで

シンプルな生き方でコロッとあの世へ逝くのが目標

船を漕ぐ

早朝出勤。

早めに出て、地下鉄のベンチに座り、ストレッチをするのが日課

 

この地下鉄のベンチ、背中をそらす運動にはもってこいなのよね。

 

腰椎は無理だけど、脊椎なら反らせる。

 

ゆっくり呼吸を合せて…

ジワ〜と。

そうしないとキケン、キケン。

バキッとか、

ボキッ!とか、怖い音がなったらそれは手足に痺れが来る地獄の入口。

 

今日もベンチストレッチ予定でいつもの場所に座ろうとすると…

あら…

とっても大きく船を漕いでる男性がいる。


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ベンチに浅く座り、背中を思いっきり後ろに預け、首が落ちそうになりながら体を反らし過ぎてはガクンとなり、気がついて起き上がる。

あともう少し前に座ったらずり落ちるわ。

あまりにも船を漕ぐ大きさがすごいから心の中で少し笑いそうになるけれど、

マスクの中では口元が緩んでいるのがわかる。

あと少しで…落ちる。

うう、動画撮りたい…(希望)

 

そうね、今日は土曜日ね。

昨日かなり飲んだのね。

今お帰りなのね?

 

すると地下鉄の到着のアナウンスが入り、男性は静に立ち上がり、

絵に書いたような千鳥足で駅のホームへ。

やっぱり…笑える。

笑ってはいけないけれどマスクの中では笑っている。

 

だってほんとに立派な千鳥足。

それもロングのコートが大きく左右に揺れながらちゃんと地下鉄の自動ドアの前に進んでいるから。

 

昔ならホームから落ちた、とかあったけれど、今はすっかり防護柵ができて、安心…って、やっぱり人に迷惑になるような飲み方をしちゃだめよね。

 

駅員さん、彼の姿を射程範囲に捉え、しっかり視線上に置いているのがわかる。

目線が矢印付きの点々…と浮かんで来そう。

 

で、

お兄さん。

バッグは?

だってあなたのそのスーツ姿にはバッグは持っている人でしょう?

 

ふと、お兄さんが座っていた地下鉄の椅子の下を見ると、高そうな生地のグレーの布マスクが落ちている…

 

あら、お兄さん、

ノーマスクで地下鉄に乗ったわ…

 

あら…

新大阪行きに乗ったわ…

無事に付きますように、朝帰りだけど。

 

家族さん、どう思うのかな。

これからのことを考えると、手がかかる人になりそう…

って、バッグが早く出てきますように。