老後サバイブ〜お迎えが来るまで

シンプルな生き方でコロッとあの世へ逝くのが目標

PRADAを持った「YOU」

京都へ行くために、JRで新大阪駅のホームで電車を待っていると、

「◯◯駅で電車とお客様の接触…」の放送がありましてね、

 

暑さで待っているのもうんざりなのに、大幅な遅れで周りのお客様も困り顔。

だから電車のそばを歩かないでほしいのに…

 

やっと普通列車が動いて、

たくさんの人達が一斉に乗り込む。



うう…

本来なら普段この時間は余裕で座れるのに…

 

 

乗り込むと杖を付いた70代後半ぐらいの痩せた男性の背中が見えていて、

周りはみんな席を譲らない。

 

何なん?

無神経な集まりは!

若者ばかり座っているし、

カップルでいちゃいちゃしているし。

 

立ってよ、あなた達、

みんな年を取るのよ、

とっても足が痛くなるのに・・

心の中で叫ぶ(決して言えない)

 

電車が揺れるたびにふらつくのを見ていると、

手を伸ばして助けようと思っていました。

男性は服装がとてもスッキリしていて、

グレイの涼しげなズボン、

ポケットが薄いブルーで少しチェック模様のポイント、

風通しのよさそうなグレーの帽子。

濃い目のブルーから薄く変わっていくグラデーションがある杖。

 

肩から斜めに黒のPRADAのショルダーバッグをかけていました。

 

久しぶりにPRADAのバッグを見たわ、

若い時は結構身に着けていた人が多かったのよね、と思い出にふけっていると、

男性と私と目が合ったので、

「今日は大変だね。混むね」と言われまして、

「そうですね、普段は楽々に座れるのですが」と言うと

「実は今日、A病院に行ってきてね。朝早かったんだよ」と言われまして、

え、A病院って、乗り換えがあって、

そこからまた歩くのに・・と思い、

「そこまで歩くのも大変ですね。それからまた待つのも(心の中で、きっと7時30ぐらいから並んでるわよね?と想像)」

「7時30分から並んですでに30人ぐらいいたよ」と。

うわぁ・・・・(やっぱり)

 

「A病院は確か、とても評判がいいと聞いていましたので」と言うと、

「僕は今T市に住んでいるけれど、そのA病院のそばに子供の時から住んでいたので知っていたけれど、そんなに良い病院とは思えないんだよね。キタ(大阪の北方面の通称)の人はみんな良い、っていうけれど」と。

あら、そうなのね(←真実を知る)

 

周りから聞いていたの情報は

とても良い病院で、

とてもお高い、と。

 

それなら疲れているわよね、と思いつつ、

この会話を聞いている周りの、その座っているみんな、

席を譲りなさい、と念力を送る・・

 

 

2つ駅目にやっとカップルが降りて、

「ここ、空きましたよ」と言うと、

「ありがとうございます」と会釈をしてくださいまして、

周りにスキマができたので、男性はつり革をつかむことができましてね、

「ごめんね、僕は腰が痛くてね、一度座ると立てなくなるので」と言われたので、

「わかりました」といい、私一人で座りまして、

隣の席が空いたままになりました。

 

それからず~~~っと世間話。

天候、気温、

病院のことなど、話していましてね。

会話の途中何回も笑うので、

ああ、相手に気を使ってお仕事をされてきた方なのね、とわかりましたよ。

 

2人だけで話をしていましたので声は広がって、

周りに迷惑は多少かかっていたかも(苦笑)

 

でもね、

座れないほど腰が痛いのだから

話をして痛みを散らしてあげる方がいいわよね、と思っていましてね、

もし誰かに注意されたら

「ごめんなさいね」と終わらせようと覚悟はしていました。

 

男性が

「ところでYOUはどこまで行くの?」と聞かれましてね。

え?YOU?

人生で初めてそういう聞かれ方をしたわ、

外国でお仕事をされていたかも、と思いましてね、

「T市ですよ、一緒です。市役所のそばに用事があるので」と伝えると、

「残念だな~僕は反対の方向なんだ」と言われました。

え?もしかして一緒に歩く予定な~んて思っていたりして(大笑)

 

おしゃれな方でしたからね。

きっと奥様もおしゃれな方なのでしょうね。

この暑いのにすっきりとした服装で

きちんとズボンにも綺麗にアイロンがかかっていましたから。

 

ただ、かなり足が細いので

転んだら大変、

骨折確実ですね・・(心痛)

年を取るってやはり体には辛い。

 

駅に到着。

「お気をつけて」と言うと

「YOUもね」と手を振ってくださいました。

 

 

YOUね・・

日本の男性はあまり言わないから、

やっぱり海外経験があるのかしら?

なんて思いながら

女性に声を掛けるときは、

「おばさん」とも

「お姉さん」とも

「お嬢さん」とも言えない男性方の気の使いようがちょっと大変、と思ったワタシでした。